Kotobako

aboutworks

夏のひとりごと

窮屈そうに車窓にはまっている

少し固い表情の夏の海

駅で買った子供だましみたいな

果実酒でもう寝息立ててる

あなたの鞄の奥でしわくちゃに

なっていたカーディガンをかける


凪の海は青が濃くて影の差すステンドグラス

柔らかい浜辺に残る半分になった砂のお城

割れたレモン味の飴で切れた舌の痛みは

またこんなひとりきりの時間に

思い出すだろう


青空にわざとらしく浮かんでいる

入道雲みたいな白一色の

夏らしいワンピースたまには着れば?

起きたら話してみようかな、なんて


Rの発音が下手ね、と言われても

自分ではよくわからない

落ちそうになってるあなたの帽子を

窓の横のフックにかける


波間にちらつく蛍光色だらけの

サーフィンボード

小さな金平糖の塊にみえるテトラポッド

お気に入りの分厚い本の栞代わりに

挟んでた乗車券が床に落ちる音が響いた


移り変わっていく旅の景色よりも

目まぐるしい夢を見ているあなたは

電車で左隣に座る理由を

聞いたら教えてくれるかな、なんて


広い座席で寝返りうって

私に顔を向けて眠り続けてるあなた

移り変わっていく旅の景色よりも

目まぐるしい夢を見ているあなたは

電車で左隣に座る理由を

聞いたら教えてくれるかな、なんて


2019

vocalist: 朱南レイ

arranger: Jon Rick Emerson

Imaginary Reverse -TABLETALK ROLE PLAY IN TOHO 17-天秤亭