わたしのことを誰も知らない所へ
行きたいとき 紺碧の海に潜る
頭を真下に向けて落ちる
水面を目指す細長い魚の深紅の鰭
報われるようなことはしてない
どのくらいまで沈めば
モノトーンな日常が切り離されて
時間を忘れるのだろう
生ぬるい水が皮膚に張りついて
開いたまま癒えずにいる傷口に蓋をする
太陽の光が薄くなって
海の色が濃くなる 底が見えない
でも怖くない
内臓がひとつずつ錘になる
捨てきれずこびりついた理性が働き出す
頭を真上に向けてあがる
水面に滲んで小さく揺れる光の点
報いを受ける覚えはない
とどどのくらい留まっただろう
見慣れてる砂浜の曲線に違和感を
抱くのかもしれない
薄墨の空の元へ戻ってきた
私が生きてきた雑音だらけの世界
顔を真正面に向けて歩く
空の色が濃くなる
守れない約束はしていない
2019
vocalist: 華香
arranger: Jon Rick Emerson